喜多日菜子のメモリアルコミュを振り返る
この記事は 喜多日菜子 Advent Calendar 2019 の 14 日目だ。内容は予告から変更した。
まえがき
この記事では、これまでに描かれてきた喜多日菜子というアイドルを、デレステのメモリアルコミュを通して振り返る。
喜多日菜子というアイドルについて、モバマスとデレステでの解離が大きいという声があるが、それはある種仕方のないことだと言える。デレステでの各アイドルは、様々に散らされた特徴やエピソードをあつめ、そのアイドルを再構成するような試みが行われており、その最たるところがメモリアルコミュにある。
メモリアルコミュなしにデレステにおけるそのアイドルを十全に受け取ることは難しい。実際にここで確認するのは、喜多日菜子というアイドルがメモリアルコミュのなかでどのように整理されたかだ。
この記事を通して、これまでに触れてきた喜多日菜子の各カードのコミュや、イベント内での活躍に、あなたの関心が繋がることを祈っている。
メモリアルコミュでの描かれ方
デレステのメモリアルコミュは、シンデレラガールズというタイトルにおいて、一番簡単にそのアイドルのことをまとまった形で知れるコミュだ*1。メモリアルコミュの各話で語られる内容は、大枠として次のようにまとめられる:
- プロデューサーとアイドルの出会い
- 初めてのレッスン
- 宣材写真撮影
- お仕事の一幕
- プロデューサーとアイドルのこれから
プロデューサーとアイドルという関係になってからの軌跡をたどりながら、そのアイドルの性質・変化を一続きに描く、重要な資料だ。
2019 年末現在、喜多日菜子にはメモリアルコミュ 4 までが公開されている。
メモリアルコミュ 1
喜多日菜子は街中でスカウトされてアイドルの道を踏み出すことを決めた。コミュの中でほぼプロデューサーは押し負けている。日菜子の話ぶりは、まだ妄想が暴走気味で正確な読み取りが難しいが、この内容をよく補完しているRの特訓エピソードと合わせて次のように流れをまとめる。
- 日菜子は王子様に迎えにきてもらいたいと思ってきた
- 王子様が迎えにきてくれるのはお姫様だから、お姫様になりたいと思ってきた
- アイドルとして有名になれば、王子様にも見つけてもらえるはず
- アイドルは本物のお姫様ではないけど、お姫様みたいなアイドルにはなれるはず
日菜子がスカウトに即答できたのは、自分の夢と向き合い続けてきたからだ。王子様に迎えにきてもらいたい、王子様が迎えにきてくれるようなお姫様になりたいと願ってきた。でも本物のお姫様にはなれないとわかっていた。ではお姫様みたいになるにはどうなったらいいだろう、と考えてきたのかもしれない。
何にせよあなたにスカウトされて、アイドルになりませんかと言われたときに、これがお姫様に近づく方法なのだと気づけた。だから、日菜子は夢のために最初の一歩を踏み出すことができたのだ。
メモリアルコミュ 2
日菜子の初めてのレッスンはヴィジュアルレッスン、つまりお芝居だ。「どんな役だって演じられないといけない」という日菜子に出されたお題は「イジワルなお姉さん」や「王子様」だった。
喜多日菜子はふたたび試される。自分の夢のために、自分のイメージに合わない、自分がやるべきでないと感じる役でも演じられるか。日菜子はただのYESにとどまらず、一歩踏み込んでこの試しに応えた。こうした役を受け入れるだけでなく、自分のものにしていく姿勢を示した。
メモリアルコミュ 3
宣材写真の撮影をする回。前回からの流れもあってか、日菜子のやる気はさらに高まっている。キメ顔の練習をしてきて、イメージトレーニングもバッチリだ。
しかし撮影冒頭から妄想に耽ってしまい、せっかく練習してきたキメ顔は出番がないまま終わる。プロデューサーが日菜子に差し出した写真は「むふふ顔」だったのだろう。日菜子は、せっかく準備してきたことが発揮できなかったこと、もし素敵な現実が目の前にあっても見逃してしまうかもしれないことを危惧して、「妄想こんとろーる」を課題だと認識する。
日菜子がなぜプロデューサーを妄想の相手にするかも、このコミュの中に語られている。プロデューサーの「これ(むふふ顔)も可愛いよ」「もっといろんな顔も見たい」という言葉に特異な反応を示した部分がそれだ。メモリアルコミュでの日菜子はここまで明示的にはプロデューサーを妄想のネタにしてこなかったが、妄想中でもプロデューサーの声は聞こえることに気づいた日菜子は、仕事中にはプロデューサーのことを考えるようになる。
ここから妄想の中での王子様役になっていく様子は、レアや妄想お姫様のテキストに見ることができる。
メモリアルコミュ 4
子供相手の朗読会のお仕事の一幕。朗読するのは『シンデレラ』だ*3。
午前の部は滑り出しはよかったが、うっかり妄想があふれだしてしまい失敗。妄想こんとろーるはもとより、子供達にも申し訳ないと、午後の部に意気込む日菜子。
午後の部の日菜子は妄想こんとろーるもばっちり、子供達の疑問にも当意即妙に答え、日菜子と子供達共々、楽しい時間を過ごせたようだ。
イベント終わりの日菜子は、これまで自分が物語に夢中になれていたのは、夢中にさせてくれる人がいたからだった、という気づきを語る。午後の部では子供達を楽しませようと夢中になった結果、子供達も楽しんでくれたこと、自分も楽しめたことを挙げて、現実の素敵なことを見逃さずにいられたことを喜ぶ。
アイドルとしてプロローグの終わりにふさわしいコミュといえる。
このコミュで語られたのは、モバマスでもデレステの各SSRでも語られてきている、ファンをはじめとするみんなに楽しんでもらいたい、夢中になってもらいたいという思いの原体験だ。
おわりに
デレステの喜多日菜子のメモリアルコミュでは、これまでモバマス時代から通してばらばらと語られてきた要素やその原点を整理し、どのようにして喜多日菜子がアイドルとしてのスタートを切ったかがまとめられていた。
各カードのコミュやイベントコミュにおける日菜子の行動や成長は、この内容を知っておくことでより鮮やかに輝いて見える。この記事の内容をうけて、あるいはご自身でメモリアルコミュを見返したのちに、各カードのコミュやイベントコミュを見返すと、新たな発見があるかもしれない。
先日このアドベントカレンダー内でトゥルー・ドリームについてもまとめた。プロローグを終え、その後に日菜子が歩んだ道のひとつの大きなチェックポイントだ。 berlysia.hatenablog.com
あなたの中の喜多日菜子像が、少しでもはっきりすることに繋がることがあれば、私は嬉しい。