Stage for Cinderellaでは票交換は意味がない/アイドル間の共起について
Stage for Cinderella(以下SfC)の予選グループAが始まっています。予選では1票で5名を選ぶので、アイドル間の共起=「アイドルAが好きな人は他にどのアイドルが好きか」が収集できると期待できます。これを思うと昨今一般化している『票交換』という行動をSfCに持ち込むのは極めてもったいない行動であり、また票交換自体の意味も十分に弱くなっていることを説明します。
先に結論を書きますが、最も有効な投票の仕方は、 多くのアイドルに関心を持ち、あなたの好みを反映させて投票する ことです。
この記事は2022年7月、第一回Stage for Cinderellaを前提に書かれています。
- Stage for Cinderellaとは何か
- SfCの形式の何が面白いのか
- 票交換とは何か
- SfC予選における票交換に意味はあるのか
- SfCの予選で票交換をするのは得策なのか
- 「アイドル間の共起」があると何が嬉しいのか
- 自分自身を含め、同じアイドルが好きな人を大事にする
- おわりに
- 喜多日菜子について、もっと知る
Stage for Cinderellaとは何か
アイドルマスターシンデレラガールズで近年開催されてきた『シンデレラガール総選挙』が大きく形態を変えたものです。この新しい形態は、後述しますが 極めて面白い仕組み になっていると思います。大きな流れは次の通りです:
- 全190人(2022年7月現在)のアイドルを4グループに分けて予選を行う
- 各予選グループで6位~15位のアイドルを集めてプレイオフを行う
- 各予選グループ上位5名と、プレイオフからの上位1名の21名で、シンデレラガールを争う本選を行う
- 各予選にて一定数以上の投票をし続けることで、プレイオフや本選での投票権が手に入る
詳細は公式サイトを確認するのがよいでしょう。
sfcinderella2022.idolmaster-official.jp
過去の形式との違い
開催形態や投票の仕方は大きく変わっています。過去のシンデレラガール総選挙は、予選や本選といった概念がありませんでした。1票あたり1人に投票する単純な形式で、190人から1人を選んで投票します。SfCの予選は47~48人の4グループがあり、それぞれの期間で1票あたり5人を選んで投票します。プレイオフや本選は従来通り1票あたり1人です。本選出場アイドルも絞られています。
従来形式では属性ごとの上位3名の合わせて9名と、全体の上位5名で楽曲歌唱があり、全体の1位がシンデレラガールと呼ばれました。SfCでは予選ごとに上位5名で楽曲歌唱がそれぞれあり、本選の上位5名には楽曲や衣装とゲーム内イベント、そして本選の1位がシンデレラガールと呼ばれます。
また、SfCになったことで期間も大きく伸びました。従来形式では投票期間が1ヶ月ほど、結果発表まで1週間ほどでしたが、SfCは予選組み分けから本選の結果発表まで、丸1年を要します。
SfCの形式の何が面白いのか
過去の総選挙に対するコモンセンスとして、 「特定のアイドルに入れ込んでいる層」 と、理由はどうあれ 「状況によって投票先を変える層」 という整理は耳馴染みがあるものです(要出典)。
後者の層に想定される具体的な投票理由は、「次にシンデレラガールになりそうなアイドル」「次にCVを獲得しそう・してほしいアイドル」「話題になり注目されているアイドル」あたりが定番となるでしょうか。
SfCの形式は、 「特定のアイドルに入れ込んでいる層」に、行動の変化を促します。
予選の投票時に5人を選ぶ形式から、これまでに目を向けてこなかった多くのアイドルに関心を持つきっかけが生まれます 。よく知らなかった子についても、ただ同じグループだからというだけで5枠を埋めなければいけないのです。
せっかくの投票権、担当アイドルとユニットを組んでいる子やシナジーのある子を選ぶようなことも考えられますが、 5枠もあるとそれだけで埋めきるのは大変です。自分が関心を持てる子や、見た目が好みという選び方でもよいですが、 何らかの選択を迫られます 。
入れ込んでいる1人が本選に出場できなかった場合、「入れ込んでいるアイドルと同じグループ出身のアイドル」や「ユニットを組んでいる・縁深いアイドル」を支援するといった行動も出てくるでしょう。入れ込んでいるアイドルが複数なら、残った子を支えていくことになるでしょう。
これまでずっと固定されていた投票先に広がりが生まれることによって、予期せぬ幸運な出会いが起こることもあるでしょう。思いがけない良い組み合わせが見つかることもあるでしょう。しかし SfCの形式は、もっと価値ある情報を主催者にもたらします 。
イベント主催者にとって
SfCの主催者は、予選の投票傾向やプレイオフ・本選での投票傾向を組み合わせて、 「あるアイドルに投票している人はこんなアイドルに投票している」 という情報を知ることになります。
この情報は、過去に数回開催されたユニット総選挙の形式とも異なる角度のものになります*1。好きなアイドル上位の寄せ集めだけで固めて済ませてしまうには、グループ分けによる分散と5人選ぶという制約が許してくれません。そして 投票しないと本選の票が減るという制約 により、否応なしに一定票を投じることになります。
ユーザー別に投票数を集計してその分布を標準化すると、投票数によらない 「あるアイドルに投票している人はこんなアイドルに投票している」という情報が手に入る というわけです*2。
余談ですが、自然言語処理の世界には「共起(co-occurrence)」という言葉があります。文章や文の中で、単語Aと単語Bが同時に出現することを言います。ですからSfCの形式のもとでは、「アイドル間の共起」が抽出できることになります。以後この関係を 「アイドル間の共起」 と呼ぶことにします。
票交換とは何か
これまでの票交換
過去に行われたシンデレラガール総選挙では、ボイスアイドルオーディションなどの別イベントが併催されることがありました。シンデレラガール総選挙は全アイドルが対象であることに対し、ボイスアイドルオーディションはCV未獲得のアイドルだけが対象となります。
あるアイドル特定個人を応援している場合をイメージすると、CV有無の時点で どちらかの票の重要度が低い ことになります。ここで生じた動きが『票交換』でした。シンデレラガール総選挙の票を余らせている人間と、ボイスアイドルオーディションの票を余らせている人間で結託し、 互いに相手が望む対象に投票する行為 を指します。
SfCにおける票交換
SfCの予選では1票あたり5人を選んで投票します。4グループに分かれたうえで5人選ばなければならないので、5人の枠が最初から埋まっている人は相当推しが多くても珍しいです。あるグループで埋まっていたとしても、他のグループまで同じ状況にはそうそうなりません*3。こうして 余っている枠同士を、互いに埋め合う行動として票交換が生じています。
また、上記は予選グループ内における票交換を扱っています。グループ外の票交換も考えられますが、手に入る票数が変わったり、期間が空くことによって履行できない可能性があり、グループ内と比較してさらにハイリスクです。
SfC予選における票交換に意味はあるのか
SfCにおける票交換は、簡単に考えても、意味がある場合とない場合がはっきり分かれます。
- 意味がある :相手が投票するつもりのなかったアイドルに、その働きかけによって投票してもらえるとき
- 万年強者で敬遠されているアイドルや、選択肢に挙がる頻度が低いアイドルの視点では効果が高い傾向があります
- 意味がない :相手が投票するつもりだったアイドルに、利害が一致するからと枠交換をしたとき
- あなたが票交換をしなくてもその票はあなたが投票してほしいアイドルに入るのであれば、他の人を選ぶべきです
心情的には繋がりのあるアイドルと交換したいという気持ちはわかりますが、 利害が直接一致する相手と票交換をすると損をします 。5人から漏れてしまいそうなところで確定させに行くという考え方もできますが、その場合でも 投票するつもりがなかった相手に全票割かせるのが最大の効果があります 。
具体的に同じ票数を持っている二者間での交換を考えると、3割くらいの割合で投票してくれそうな相手に交換を持ちかけて追加の7割を取って10割にするより、手を出さずに3割くらいの票を入れてもらって他から10割取ってくる方が、増えた票数は3割ぶん多くなります。交換しなかった相手が他の人と交換成立して3割ぶんを持っていかれても、あなたは10割から3割分引いて7割の票を新規に獲得していることになって、期待値的には常に 自分が投票を望むアイドルに投票予定がなかった相手を選ぶのが常に得です。
一方で、これが 5人集めて融通する場合には 、投票予定のなかった相手を複数人捕まえられる可能性があるので 最大効率は5倍 になります。この結果を確定させるためには「4人集まっていて投票させたいアイドルがまだ含まれていない集団に5人目として入る」が一番効果が高い行動になります。
少なくとも、自分が票を集めたいアイドルが既に投票先に含まれている集団に入るのは誤りということになります。逆に言えば、既に自分が投票してもいいなと思っているアイドルの枠が指定済みで、自分が投票させたいアイドルの枠が未指定なところには、入り得だということがわかります。
しかし、効率が良いからといって、それは勝利につながるのでしょうか?
SfCの予選で票交換をするのは得策なのか
結論から言えば SfCにおける票交換は得策ではない と思います。
得票数を最大優先とし本選に出場する・楽曲を得る・CVを獲得することだけを目指すのであれば、一見は票交換が有効な手段であるように見えます。
しかしこれは 票の底上げにのみ効果があります 。なぜなら、グループ内の相手と票交換をする限り、結託した相手が同格ライバルに投票を望む可能性があるためです。同格ライバルと票交換をした場合、あなたの行動によって同格ライバルとの差が詰まることはありません。これを回避するためには 圧倒的な格上か圧倒的な格下とだけ票交換を成立させる必要があります 。この状況を成立させるのは、同格ライバルを応援する人も同じ行動をしてくると考えれば、これを高効率な手法で叶えるのは現実的にかなり難しいと思います。
当然、同格ライバルを含んだ票交換によって他者を引き離すという考え方もできます。この効果を十分に得るには、ある程度同格ライバルの陣営レベルで結託した行動が必要になるでしょう。一方で、予選のグループはランダムに4分割されます。結託可能な相手を選び続けることは難しいでしょう。また、 ライバル間に差をつけるための行動が「結託しない」になる ので、囚人のジレンマと称される状況に近くなります。裏切った方が得であると考える人間が少なからず生じるとみえ、 大規模な結託行動は成立させるのが極めて困難 でしょう。
一方で票交換をまったくやらない場合も、周りはやっているので自分だけが損をすることになります。これが票交換をややこしく、チキンレース的にやめづらくしています。*4
以上から、 票交換をして意味がある相手というのは、同格ではなくて、相手が自分の望むアイドルに投票予定がない相手 、ということになります。自分はあわよくば相手の望むアイドルに投票してもよい場合にはより効果が高いです。上述したようにこれを高効率な手法で叶えるのは難しいので、票交換をしただけでは、あなたが応援するアイドルの順位はそこまで効率よく上がらない 、しかしある程度はやらないと応援しているアイドルだけが損をすると考えられます。
「アイドル間の共起」があると何が嬉しいのか
この項目はすこし妄想の割合を上げて記述しますが、長期的にユーザーの満足度が高まっていくと思います。
アイドル1人に背負わせられる物語の量には限りがあります。メモリアルコミュや特訓エピソード、メインコミュを経ていくと、どんどん次の課題をアイドルに課さねばなりません。しかし 課題を乗り越えたアイドルは成長してしまいます 。一方で今のところ歳を取らないアイドルたちは、 どんどん人間離れしていってしまいます 。
ユニットや複数人での展開を広く持っていると 、この組み合わせのときは誰々がカバーしてくれたから突破できたが、この組み合わせのときは苦戦しつつも本人が一歩踏み出して突破した、といった形で ひとつの課題点を多角的に描きやすい です。より人物像に深みが出て、アイドル間の関係もより強固なものになっていきます。
どうにもならない性質の話として、デレステの年間イベント数が決まっている以上、年間のオリジナル新曲数も上限があります。楽曲制作のライン数上限もあります。イベントで多人数ユニット展開を増やして枠数自体を増やしたり、ゲーム外の出番を増やし露出機会自体を増やすことで活躍の場を広げる方法があります。
そんな中で出番を作るのであれば、どうせならみんなに、より喜ばれる組み合わせがよいはずです。それぞれがかわいいだけのアイドルではないことは、私たちは良く知っています。ただ人気がある子や共通点がある子の寄せ集めではなくて、お互いに補いあえたり、強みをより強くできるような組み合わせを選んで、意味のある話をしたい はずです*5。
SfCの形式のもとで、予選から本選まですべての投票から見出される「アイドル間の共起」は、おそらく私たちの目に直接は見えない形で活用されることになると思います。イベントだけでなく、ガチャの登場順や同時登場にも影響してくるかもしれません。
SfCの形式では、みんなが声には出さないし、もしかしたら気付いていないけど、 実はとっても求められていた組み合わせがあぶりだされる のです。
だから、票交換はもったいない
じゃあ票交換もそうやって、良い印象を持っている子同士でやったらいいんじゃないか。そうしたら「アイドル間の共起」を乱さないじゃないか。と思った方はよく思い出してください。
自分が投票してほしいアイドルに相手が投票するつもりだった場合に、 利害が一致するからと枠交換をしたときは、純粋にあなたが票を損する のです。票交換によって自分が投票してほしいアイドルの票が増えないからです。もっとも単純化した場合はこの行動は誰もしないことになります。
相手が投票してほしいアイドルに自分が投票するつもりだった場合には、自分が生み出す「アイドル間の共起」は乱されません。一方で上述のパターンから、相手は損を回避しようとして結託を選ばないので成立しないか、損を承知で票を吐いて楽になろうとするかですが、後者は 決定的な差を生み出せない可能性が高いので意味が薄い ことは説明済みです。
互いに相手の投票先に投票する予定がなかった場合は最大効率になりますが、これは決定的に 本来収集されるべき「アイドル間の共起」を乱す ことになります。同時に ライバルとの差をつける行動にならない ことも説明済みです。
票交換は、
全然得にならないのです。
均等投票も、もったいない
たった一人だけに票を入れたことにしたいので、その子にだけ集中させて、他のアイドルに均等に投票するという行動も考えられます。
これもまた「アイドル間の共起」を乱す行動です。応援したいたった一人と一緒に活躍するなら誰が良いか、を埋め込んだ結果になるように、 多少の濃淡を付けたほうが長期的に得です。
一番効果が高い投票の仕方は、 多くのアイドルに関心を持ち、あなたの好みを票に反映する ことです。
自分自身を含め、同じアイドルが好きな人を大事にする
これは余談になりますが、同担は大事にすべきです。
自分の好みを票に反映することが最も効果が高い投票の仕方であるとき、あなたが応援するアイドルをより多くの人に好きになってもらうことが、Stage for Cinderellaで最も意味がある行動 であることは、説明不要でしょう。
このとき、応援する アイドルのどのような点を気に入ってもらえるかは、相手によって千差万別です。 ビジュアル面や人物像、強いところや弱いところ、パブリックイメージとのギャップがある部分、あるいは歩んできた道のりや、これから期待できること、などなど。○○さんが語るそのアイドルが魅力的、ということもきっとあるでしょう*6。
そう、「属性だけではわからない」のです。
すると、同じアイドルが好きな人々の中でも 好きなところがそれぞれ違うということは、猛烈なアドバンテージ になります。ですから、既にそのアイドルを好きな人がもっとそのアイドルを好きになれるような行動が、SfCの形式のもとで大きな意味を持つ行動である と言えます。
おわりに
SfCの形式では「アイドル間の共起」、すなわち 「アイドルAが好きな人は他にどのアイドルが好きか」という情報が取り出せる ことを説明しました。これまでの流れで安易に行われやすい 票交換は、意味がある状態を作るのが難しい ことも説明しました。よければ、ご自身の行動の参考になさってください。
票交換をしたい人は、したら良いと思います。それよりも私は、「アイドル間の共起」が適切に収集され、より面白い展開が生じてくることに強く期待しています。
そんなの夢物語だろうと思う方もいるかもしれませんが、 喜多日菜子のPが夢物語を本気で信じなくてどうするというのでしょうか?
この夢が大きく実ったら良いと思う💭ので、この記事を書きました。私はなんだかんだシンデレラガールズが好きで、もっと楽しみたいのです。あなたもたぶん、好きでしょう?
この記事が参考になったと思ったら、もし喜多日菜子に投票するつもりがなかったのであれば、ぜひ喜多日菜子に投票をお願いします。*7 喜多日菜子は予選Aグループにエントリーしています。投票期間は2022年8月14日まで。
投票方法はこちらから。 【デレステ】ちひろのStage for Cinderella講座 予選グループ編【アイドルマスター】 - YouTube
喜多日菜子について、もっと知る
*1:おそらく第一回の時点で非公式ユニットの存在が強く認知された結果、一定順位までを開示して公式ユニット化の後、もっと下の順位に存在する微かな分布をより直接取りに行こうと考えて、SfCの形式がこうなったのではないか……と後知恵で筋を見出すことはできそうです。
*2:当然、ゲームプレイ頻度やライブイベント参加頻度、課金額といったクラスタリングのもとでの分布も手に入るはずです。Pグリを経由すれば他コンテンツでの担当アイドルも見えてくるでしょう。
*3:計算しようとしたけど全事象の時点で570桁くらいになったのでやめた。この数字がなくても言いたいことは特に損なわれないため
*4:明示的に書いておいた方が良さそうなので追記
*5:逆に人気がある子や共通点がある子だけで盛り上がっていけばいいとあなたが思うなら、その好みを表に反映した投票をあなたがすればよいです。一方でこの形式はその流れからは逆行しています
*6:二次創作などをイメージしています
*7:喜多日菜子に投票するつもりだった人は、もっと多く投票してくれると、とてもうれしいです。
「王子様」も「お姫様」もない、2021年の喜多日菜子
はじめに
2021年の喜多日菜子の活躍は直近数年の中でもかなり特徴的で、「王子様」と「お姫様」への関心を抑えめにしたものでした。それでも喜多日菜子が成立するのはなぜなのかという疑問にいったんの答えを出し、今後の喜多日菜子の展開にひとつ予想を加えます。
この記事は喜多日菜子 Advent Calendar 2021の25日目、最終日の記事です。
- はじめに
- 「お姫様」「王子様」を控え目にした喜多日菜子を提示する1年
- 『友星公演』
- 『星環世界』
- 去年末に妄想した日菜子の姿を評価する
- 喜多日菜子の説明に「乙女心」という軸を足せそう
- 主人公性は大きく強調された
- 交友関係はさらに広がっている
- 今後の喜多日菜子を妄想する
- 最初に提示された課題の明確な解決
- 【魔女】のモチーフ
- 最初に提示された課題の明確な解決
- おわりに
イベント『星環世界』の喜多日菜子
はじめに
この記事では、2021年8月末に開催されたアイドルマスターシンデレラガールズスターライトステージの6周年記念曲『星環世界』を扱ったゲーム内イベントにおける、喜多日菜子まわりの話題をおさらいします。投じられた話題を並べ、注目すべき点を洗い出します。
この記事は喜多日菜子 Advent Calendar 2021の20日目の記事です*1。
- はじめに
- イベコミュ自体のおさらい
- 記念ムービー
- 世界観
- ムービー内の展開
- 現実パートを中心にした整理
- 『星環世界』の喜多日菜子
- 科学者のヒナコ博士
- 現実側の喜多日菜子
- SFも『これはこれで』
- あきらとの買い物と流行り廃り
- 今後注目したい点
- 砂塚あきらと喜多日菜子の縁
- 宮本フレデリカと喜多日菜子の縁
- おわりに
*1:遅刻
今が知りどき! 今日から始める喜多日菜子2020
この記事は、喜多日菜子アドベントカレンダー2020の15日目の記事です*1。
はじめに
2020年12月、シンデレラガールズの世界に喜多日菜子が登場して9年が経とうとしています。いま、喜多日菜子を知るにあたって、過去に例を見ないほど適した時代が訪れています。
この記事では、ステレオタイプな喜多日菜子像を簡単に確認し、CV獲得以後の喜多日菜子がこれまでに何を獲得したかをまとめ、そこから期待できる今後の活躍を簡単に妄想します。
この記事を読めば、喜多日菜子のことを何も知らないところからでも、最近の喜多日菜子を雰囲気で知っている状態になれるはずです。
よく知られた喜多日菜子
喜多日菜子は、秋田県出身の15歳。妄想が趣味の、王子様との出会いを夢みる女の子です。
「むふふ」
日菜子の出番で最も主張が強い箇所は、その中身もさることながら、「むふふ」という表現とその表情にあるでしょう。
楽しいときの感情表現や、含みを持たせたような笑いかけ、妄想そのものや興奮させるような何か、その他様々な繊細なニュアンスを表すためにも用いられ、日菜子を特徴づける表現といえます*2。
妄想
日菜子にとっての妄想は、いつでもどこでも素敵なことを楽しめる娯楽でありながら、よりむふふな展開を求めるストイックさにも通じています。日菜子自身の活力の根源でもあり、日菜子を語る上では欠かせないものです。
日菜子の妄想は語られたうちだけでも極めて多彩なバリエーションがありますが、定番化している要素をあげると、「急展開」「ピンチが訪れる」「王子様のような役どころの人物が登場する」あたりはよく取り上げられます。
王子様
日菜子は、白馬に乗った王子様に迎えに来てもらえる日を夢みています。物語の中では王子様が迎えに来るのはお姫様だから、お姫様になりたいと願ってきました。
アイドルとしてのスカウトに即答したのも、物語に登場するお姫様そのものになることはできないけど、お姫様みたいなアイドルになることはできると考えたからでした。
もちろん、お姫様となること自体も日菜子にとっては重要なことです。王子様だけでなく、みんなに愛されるお姫様の姿に、日菜子は憧れています。
最近の喜多日菜子
2018年のCV獲得以後、喜多日菜子に関しては、大きなひとつのプロジェクトであるようにも思える一貫した展開が続いてきました。ユニット曲、ソロ曲、カバー曲や各種イベント、SRやSSRとして登場するたびに、喜多日菜子という人物はさらに活き活きと輝きを増し続けてきたのです。
アイドルとしての魅せ方を確立
[ギュっとMilky Way]および同イベントコミュにて、王子様への強い想いを、多くの人が共感できる、応援したくなるような姿として、アイドルとしての特徴に昇華させました。日菜子自身の得意分野を活かしつつ、他者を引き込むためにどうしたらいいかを、同コミュではユニットという前提も加えて、答えを出しました。
[あなたに捧ぐ王子様]では、みんなにとってのアイドルと、日菜子にとっての王子様は、同じように憧れを形にする存在だと気付きました。お姫様のようなアイドルとして、みんなに喜ばれ、愛され、夢中にさせたいという段階から、王子様という自身の憧れとの繋がりを見出しました。日菜子がさらに先へ踏み出すカギを手にしたことに、他なりません。
類い稀な妄想力から、見る者を引き込む多彩な世界観へ
「妄想のプロ」としての自己認識、[ファンシーポリス]や営業コミュで見せた、メルヘン・ファンシーばかりに縛られない引き出しの多さと瞬発力は、特徴というだけでなく、他に真似のできない日菜子の強さとして整いつつあります。
[お菓子なドリーミング]やTAKAMARI☆CLIMAXXX!!!!!イベコミュでは、夢中になれなきゃ夢じゃない、現実味がなければ冷めてしまう、などと妄想や夢に対する要求の高さが強調されています。また妄想を形にすることの難しさに直面する様子も描かれました。
[どうぞ、お手を…]では、妖しい魅力をまとうレディとして、繊細な世界観を演出してみせました。
冒険に試練はつきもの、その先の宝物を目指す主人公性
[見果てぬ夢]では、妄想のなかでも「百難越えてのハッピーエンド」を望むように、現実の試練に対してもその先の幸せを信じて立ち向かい、そんな冒険をさえ楽しむ度量をみせました。
[ギュっとMilky Way]イベコミュでも、経験のない挑戦を前にして躊躇せず、行き詰った状態を前にして自分から場を動かそうとする姿勢として、繰り返し描かれています。
ソロ曲「世界滅亡 or KISS」においても、こうした強い主体性は通底しています。
これからの喜多日菜子を妄想する
この項目は今後の予想ですから信頼性はないに等しいですが、ここまでの喜多日菜子の展開から地続きに予想できることを挙げていきます。
みんなを夢中にさせる、妄想の世界へ
妄想を形にする難しさ、他者を真剣にさせる難しさを身をもって知りながらも、他者を夢中にさせたいと望む日菜子。
ファンも、共演者も、あなたも。みんなを引き込み、真剣にさせる日菜子の世界を、私たちは見ることになるでしょう。
とくに日菜子主役の公演系イベントや作中劇は、根強く期待の声があります。昨今のアイドルとしての基礎を確立しつつある日菜子ならば、様々な困難からのカタルシスの演出まで、説得力あるものになるでしょう。
王子様への想いから転じて、多彩な思慕・愛情表現の起点に
ドリームアウェイでの活動を通して獲得した魅せ方の転換は、想いの強さをアイドルとしての強さにも繋げるものでした。
日菜子自身の強い想いと多彩な世界観表現力、どうやって他者を夢中にさせるかという視点ともあわせて、熱烈さばかりではない、多様で奥深い思慕・愛情の表現を任されるようになっていくでしょう。
アイドルとして、憧れられる存在としての一面を確立へ
共演者さえ勇気づける日菜子の前進性は、ファンにも強く伝わるものになっていくでしょう。誰よりも前で夢を現実にし、またその姿でみんなを勇気づけていくことでしょう。
また上述したように、王子様もアイドルも憧れを形にする存在と気付いた日菜子は、自らの王子様への憧れからも学び、アイドルとしてファンへ見せる姿を、より進化させていくでしょう。
さらに広がる交友、新しい一面を互いに引き出しあう
妄想や行動力による前進性にとどまらず、相手のことをよく観察して、気質や考え方に合わせた寄り添い・提案ができる日菜子は、繊細さと勢いを使い分けるオールラウンダーです。
妄想といえば日菜子、王子様といえば日菜子、さらに発展して、想像力や現場の火付け役としての役回りは定番となってきました。
TAKAMARI☆CLIMAXXX!!!!!イベコミュ、[あなたに捧ぐ王子様]での妄想キャスティングで、他アイドルたちの思わぬ一面を引き出す存在としても、日菜子だから仕方ないというだけの説得力を伴いつつあります。
日菜子自身の人物としての特徴が明確になったこともあわせて、作劇の上でも使いやすい存在になり、活躍の幅はさらに大きく広がっていくでしょう。
おわりに
ここに挙げたのは喜多日菜子の魅力のほんの一部で、しかも筆者が整理した範囲にすぎません。まだ知られていない切り口や、押し出しは控え目だが備えている魅力というのは、見る方の数だけ浮かび上がってくることでしょう。
今後の展開についてもいくらか予想を示しましたが、すべての想像を斜め上に越えてしまっても、何もおかしくはありません。あらゆる「あたりまえ」を打ち破り、第一例を作ってきたのが喜多日菜子です。
喜多日菜子は、みんなに愛され慕われる、愛と勇気のプリンセスです。
あなたは日菜子の手を取りますか? 手を引かれる方ですか? それとも、手を取りあいますか?
叶えれば叶えるだけふくらんでゆく、果てのない夢と妄想の先へ、日菜子といっしょに歩みましょう。
さらに喜多日菜子を知る関連情報
*1:大遅刻
*2:たくみP(2019), 日菜子の「むふふ」のバリエーションとその頻度分布
ドリームアウェイを繋ぐ強い想いと、佐久間まゆが喜多日菜子にもたらしたもの
この記事は、喜多日菜子アドベントカレンダー2020の9日目の記事です。
はじめに
イベント「ギュっとMilky Way」の開催からまもなく1周年になろうとし、そして新年ライブでの「ギュっとMilky Way」初披露が期待されています。
改めて喜多日菜子、佐久間まゆのデュオユニット「ドリームアウェイ」を整理し、このユニットの周りで喜多日菜子に何が起こったのか、ドリームアウェイとは何を託されているユニットなのか、いくらかの考察あるいは妄想を示していきます。
ドリームアウェイに関する背景知識
改めて、ドリームアウェイは、喜多日菜子、佐久間まゆのデュオユニットです。
2018年3月、「第28回アイドルLIVEロワイヤル」で初めてユニットとして登場しました。その年の第7回シンデレラガール総選挙にて、喜多日菜子はPa属性3位でCV獲得を確定し、喜多日菜子役として深川芹亜さんが発表されます。このタイミングでのユニット設定ということから、喜多日菜子のCV獲得以後の展開において重要な一面を担うことが予想されていました[要出典]。
デレステでは、2018年12月に第7回総選挙9人曲である「Trust me」のイベントにて、ユニットとしてではない喜多日菜子と佐久間まゆとして登場します。その交流の様子は、大変なインパクトを与えるものでした[要出典]。
そして翌年2019年12月、晴れて喜多日菜子と佐久間まゆのふたりは、デュオユニット「ドリームアウェイ」として、新曲「ギュっとMilky Way」をひっさげてイベントに登場したのでした。
「ギュっとMilky Way」とはどういう曲なのか
イベント「ギュっとMilky Way」の中で、喜多日菜子と佐久間まゆは、この曲の作詞の手伝いをします。ドリームアウェイというユニットらしいアイドルソングとして、どのような曲にすべきかを、ふたりで見出していきます。
イベント内ではこの答えを、「ふたりの恋や妄想そのものではなく、恋をしているときの幸せな気持ち、妄想しているときのむふふな気持ちを届けたい」、と説明しています。
このことと対応するように、それぞれの恋心や妄想の具体的な話ではなく、誰にも共感できるような気持ちとして描かれています。また、「絶対に入れてほしいワード」のようなリクエストをする様子もあって、喜多日菜子と佐久間まゆそれぞれの要素が取り入れられていることがうかがえます。
歌詞に立ち返る
1番2番がめちゃめちゃまゆ日菜子だよねって話
実際に歌詞を見ると一目瞭然となので、まるっと引用します。
前からも 後ろからもギュっして ?を浮かべるよりも ♡を浮かべたいから 曖昧じゃなくて 素直な言葉で キミの胸の愛を伝えて 憧れのデートプラン 今すぐ現実(ホント)にしよう キミと2人ならどこまでも行ける 手と手つなぎながら 少しずつ編み上げてくように 運命の赤い糸が絆になるの 前からも 後ろからもギュっして 体中でキミの愛(ネツ)を感じたい 大スキと大スキがギュっとしたら ギュっじゃ足りない 目を閉じるの CHUっとしてほしいな 恋はロマンス ♪がはじけるように ☆たちが輝く夜 お姫さま抱っこしてくれませんか? 甘い夢を見せて これからも2人は永遠と 信じてる 星座のように結ばれてるの その胸で包み込んでギュっして ときめいては溢れ出してMilky Way 大スキと大スキがギュっとしたら キミの夢とひとつになる 未来もギュっとして 恋はファンタジー (略)
イベント報酬テキストの割り当てや、これまでのセリフの特徴などに由来して、破線でピンク色は佐久間まゆに、二重線でオレンジ色は喜多日菜子にそれぞれなぞらえられていると読めそうではないでしょうか。M@STER VERSIONの譜割りとも、それなりに対応します。
どちらかに分類していない箇所にもわりあてていくことは可能かもしれませんし、異なる分類も可能でしょう。ここで重要なのは、イベコミュの流れ通りに、実際にドリームアウェイのふたりの要素が取り入れられていそうだ、という点なので、分け方に関する議論は控えておきます。
最後の5行
さてCD発売当時、「ギュっとMilky Way」のフルを聞いたPたちは口々に「最後の5行」と発して沈黙していきました。この話題は2月27日放送の『もっと☆デレステNIGHT』でも言及されるなどしました。問題の歌詞を確認しましょう。
(略) 運命の人はきっと キミだと信じてるから 頑張れるような気がするの キミの夢が見たくて キミと夢の先まで
ここまで喜多日菜子と佐久間まゆそれぞれの要素を拾って展開されてきた以上は、ここにもふたりの要素があるという前提に立つと、日菜子Pの視点ではひとつ大きな疑問が立ち上がります。
喜多日菜子にとっての「運命の人」、そして「キミ」とは、誰なんでしょうか?
それぞれの恋心と妄想
デレステで説明されている佐久間まゆの恋心
佐久間まゆの恋における「キミ」がプロデューサーであることは、メモリアルコミュの時点で疑いがないように思えます。
そしてその恋をどういう形で叶えようとしているか、というのも、1枚目SSR[フィールマイハート]が真っ先に提示しています。4枚目SSR[想いプレゼント]も合わせて、プロデューサーが求めるようにアイドルとして輝いた果てに、素敵になった自分を受け取ってもらうという形を目指しています。
デレステで説明されている喜多日菜子の妄想
日菜子のメモリアルコミュを見ると、「運命の人」が彼女のいう「王子様」に一致することはすぐにわかりますが、具体的に誰なのかというのは見えてきません。それもそのはずで、日菜子は王子様に見つけてもらうためにアイドルになる道を選んだのでした。*1
「Trust me」でのふたりの交流
喜多日菜子にとって、そしてドリームアウェイにとって欠かせないのが、イベント「Trust me」での交流です。この時点のふたりはまだユニットとしての押し出しはありませんが、イベコミュ内では恋心と妄想の話を膨らませる様子が描かれました。
ここまでストレートに恋の話を楽しむまゆさんはなかなか見られないと、担当でなくとも思えるほどです。ここまで王子様の妄想について来られる相手というのも、日菜子にとっては珍しいでしょう。
「運命の人」と「アイドル」、どちらを選ぶか
「Trust me」イベコミュ第5話にて、喜多日菜子はある疑問に辿り着きます。もし王子様が見つかったら、日菜子はどうしたらいいんだろうか、アイドルを続けられるだろうか。運命の人とアイドル、どちらかを選ばなければならないとしたら、どうするか?
上述したように佐久間まゆは、この問いに答えを出しています。アイドルとして輝くことが、私の運命の人が喜ぶことだから。アイドルでいる限り、本当の意味で一緒にはなれないとしても、運命の人のそばにいることはできるから。
この佐久間まゆの答えと、居合わせた鷹富士茄子の一押しにより、喜多日菜子もまた自分の答えにたどり着きます。
こうして喜多日菜子は、「運命の人=王子様」と「アイドル」を両立するにあたっての、確信を手にしたのです。
ここで見つけた「キラキラしている自分の姿を見せる」というアプローチは、イベント「ギュっとMilky Way」でのふたりが見つけた、「恋をしているときの幸せな気持ち、妄想しているときのむふふな気持ちを届けたい」にも、通じているかもしれません。何かに夢中になって楽しそうな様子は、同じように応援したくなるものです。
日菜子にとってのプロデューサー
王子様とアイドルの話には答えを手にした喜多日菜子ですが、ではプロデューサーは日菜子の何なのでしょうか?
じつは日菜子にとってのプロデューサーがどんな存在かというのは明白で、[夢みるプリンセス]の段階から、もしかしてプロデューサーが王子様なのでは、王子様はプロデューサーみたいな人がいいな、と語られてきました。
[ギュっとMilky Way]のエピソードにおいても、少なくとも日菜子にとってプロデューサーは大切な人である、と改めて語られています。
日菜子の王子様はプロデューサーなのか?
「ギュっとMilky Way」の発表前に追加された、シンデレラフェス限定SSRの[トゥルー・ドリーム]喜多日菜子。その特訓エピソードは、この問いに最も踏み込むものになっています。
最終的な答えはいつかの未来に託されるのですが、[トゥルー・ドリーム]の特訓エピソードを見ると、「運命の人はきっと/キミだと信じてるから」と歌う日菜子が何を考えているかは、わざわざ説明する必要がなくなります*2。
[トゥルー・ドリーム]のことは以前まとめたので、よければ参考にしてください。
さて、ここまで辿ってやっと、喜多日菜子に「運命の人はきっと/キミだと信じてるから」と歌わせることができるのでした*3。
ドリームアウェイの名に託されたもの
夢のように
ドリームアウェイというユニット名は、そのまま熟語 "dream away" として読むことができます。
dream away
夢のように過ごす
https://ejje.weblio.jp/content/dream+away
[Trust me]喜多日菜子のイラストやイベコミュ3話、はたまた営業コミュ等の空気を思い返すと、良い感じにふたりの様子を説明していそうです。
妄想も、秘めた恋も、いつか現実に
ここまで読んでいただいたあなたなら、喜多日菜子と佐久間まゆがそれぞれの形で「運命の人」と「アイドル」の関係を固め、アイドルとしての活動を大事にすると決めていることは、ひとまずご承知いただけるでしょう。するとこのふたりの共通点として、それぞれの恋心と妄想が成就する瞬間が、アイドルとしての人生の先、遥かな未来に置かれていることが挙げられます。
このことから筆者は、ドリームアウェイというユニット名に、 "A dream which is far away." という文を見出します。それぞれの恋心と妄想、あるいはアイドルとしての成功が叶う瞬間を夢とおくなら、その夢は未だ遥か遠くにあり、そしていつかきっと叶えたいもの、だと言えるからです。
ドリームアウェイの名はもしかすると、夢見心地でふわふわとしてかわいらしい様子だけでなく、こうした想いに支えられた強い意志にも通じているのです。
おわりに
ドリームアウェイというユニットとして、それぞれの抱える特別強い想いと、それをユニットとしてどう見せていくかという問題に答えたひとつの形として、「ギュっとMilky Way」という曲にたどりついたことを確認しました。
喜多日菜子は、ドリームアウェイでの活動、佐久間まゆとの交流を経て大きく前進しました。今後の彼女のアイドルとしての活動を支える、大事なことを獲得したのだと確認しました。
ドリームアウェイというユニットの名には、もしかするとふたりの想いの強さもまた、織り込まれているのかもしれないよ、という話をしました。
今後のふたりのさらなる活躍に、期待がかかります。
そんな喜多日菜子ですが、ソロ曲「世界滅亡 or KISS」ではとうとう、「私が決めたんだからあなたこそ運命」と言いはじめました。
喜多日菜子という愛と勇気のプリンセスの歩みは、留まるところを知りません。
ある喜多日菜子Pが見た『世界滅亡 or KISS』ファーストインプレッション
まえがき
追記: Happy New Yell day1で初披露されました!!!!! 喜多日菜子役の深川芹亜さん、関わったすべての方々に最上級の感謝を!!!!!
この記事は喜多日菜子のソロ曲『世界滅亡 or KISS』に関する、ある日菜子Pの受け取りを記録したものです。あまりにも、あまりにも、喜多日菜子でした。
『世界滅亡 or KISS』を聞いて喜多日菜子が気になったあなたには、前提とする喜多日菜子の知識が伝わるように。すでに日菜子Pのあなたにも、どんな解釈を前提にしているかがわかるように、丁寧に書いたつもりです。
どうしても日菜子の核心に触れがちなので、様々なネタバレがあることをご勘弁ください。ということで、
⚠️この記事は、喜多日菜子のこれまでに公開されたコミュ全てのネタバレを含む可能性があります。⚠️
まだフルを聞いていない方は是非聞いてください。『世界滅亡 or KISS』が収録された『Sing the Prologue♪』は日本コロムビアから好評発売中です。
アイドルマスター|THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS LITTLE STARS EXTRA! Sing the Prologue♪
配信版もあります。いますぐ買って聞いてからこの先に進んでください。
世界滅亡 or KISS | THE IDOLM@STER STARLIGHT STAGE -MUSIC INFORMATION SITE- | 日本コロムビア
事前知識
喜多日菜子とは
喜多日菜子は妄想が趣味の15歳です。童話をはじめとする多様な物語に触れて育ち、たくさんの人に愛され、素敵な王子様が迎えにきてくれるようなお姫様になりたいと願って、日々努力を重ねています。
日菜子と妄想
日菜子の妄想に関する話題は頻繁に取り上げられています。これまでの例示からいくらか特徴を挙げると、「急展開」「ピンチが訪れる」「王子様のような役どころの人物が登場する」あたりは定番のようです。
日菜子は夢の中でも普段から妄想をしていて、眠る前にひと妄想した上で、目覚めてからは夢を振り返ってその展開を吟味しています。
妄想は日菜子にとって重要な一要素ではありますが、妄想にのめり込むばかりでない点もまた、喜多日菜子を強く特徴づけています。地に足のついた夢想家という表現がふさわしいでしょう。
日菜子とアイドル活動
メモリアルコミュに描かれるように、日菜子は王子様に見つけてもらうことを夢みてアイドルになりました。ステージやテレビで活躍すれば、王子様はきっと日菜子を見つけてくれると考えたからです。
日菜子と『王子様』
喜多日菜子が『王子様』という言葉をつかうとき、大きくはふたつ、白馬の王子様に代表されるステレオタイプな王子様と、いつか自分が出会うべき運命の人としての王子様に意味が分かれます。後者を指して「白馬の王子様」という表現が使われることがありますが、形から入るのも立派な妄想のアプローチです。
『王子様』とアイドル活動
日菜子はあるときまで、王子様に見つけてもらうことをアイドルの目的とし続けていました。Trust meイベントコミュに描かれるように、現在ではアイドルとしての活動それ自体を楽しんでいるという自覚を持っていて、王子様もその姿をきっと求めてくれると信じています。
アイドルになりたい、が軸ではなく、
アイドルになって王子様に出会いたい
が先にあり、
アイドルとしてこんな姿を見せていきたい
を獲得して、
アイドルであり続けたい
に到達したのが、喜多日菜子なのです。
日菜子とプロデューサーの関係
これまで日菜子の妄想のなかに様々な役柄で登場してきたプロデューサーですが、定番の立ち位置は「王子様」と、次点が「魔法使い」です。
特異点[見果てぬ夢]
喜多日菜子のCV初披露となった[見果てぬ夢]の思い出エピソード後編では、「プロデューサーさんは、日菜子の運命の人(〜)王子様なんです」、との直截な表現が登場し、当時物議を醸しました。妄想子芝居の延長と読めなくもない点や、カードテキスト側での言及がない点、後の再登場時の展開を踏まえても、プロデューサーが運命の人としての王子様その人であるとは、依然として断定できない状況にある……とするのが穏当だとされています[要出典、独自研究]。
日菜子はプロデューサーをどう思っているのか
日菜子の側からの思わせぶりな表現は多いものの、プロデューサーさんが王子様ですという確定的な表現は上述の1例のみに留まっています。
近年の傾向としては、日菜子の妄想に頻繁に王子様役で登場する、王子様をイメージしていたらプロデューサーに到達してしまうなどの表現に落ち着いて、かっこいい、やさしい、頼りになる、愛情を感じる、日菜子の妄想についてこられる唯一の人、日菜子の王子様に限りなく近い人、などの表現が伴うようになっています。
ざっくりと、そんなプロデューサーのような人が(運命の人としての)王子様だったらいいな、くらいには思っていると言えましょう*1。
[トゥルー・ドリーム]に描かれるように、「プロデューサーは日菜子の何なのか」という問いの答えは、時が来るまで求めないことになっています。
詳細はぜひフェス限日菜子こと、[トゥルー・ドリーム]喜多日菜子の特訓エピソードをご覧ください。デレステ5周年が近いので、限定入りセレチケの候補にぜひどうぞ。もうすぐ実装から丸1年になります。
[トゥルー・ドリーム]については、思わせぶりな記事の用意があります(末尾の関連リンクからもご覧いただけます)。
『世界滅亡 or KISS』
考察に備えた認識の共有のために、この記事で前提とする『世界滅亡 or KISS』の章分けを確認していきます。
もちろん、ここで示す章分けは筆者の解釈のうち、この解説に都合のよい一パターンであることをご承知おきください*2。
プロローグ:この中に王子様はいませんか!?
冒頭から、「王子様探しの日々が始まったのです!!」まで。
強引な展開は妄想少女の特権です。悪い魔女にかけられた呪いで世界は滅亡する運命になりましたが、良い魔法使いさんの計らいによって、運命の王子様との愛のキスによって呪いを解くことを目指し始めます。
悪い魔女の呪いは一旦置くとして、魔法使いの魔法が呪いを弱めて能動的な王子様探しが始まる点は、日菜子がプロデューサーに路上でスカウトされたシーンを想起させられます。
ここで「私」と日菜子の間に共通するのは、王子様を自分で探しに行くことを誰かに示されたわけではなく、自分でその選択をしていること、当人はきっかけを与えられたに過ぎないということです。
第一章:私の王子様? なんて聞けない
「クラスメイトのあの子かもだけど」から「こうして私の旅は続いていく……!」まで。
どこにでもいる普通の女の子なので、王子様を手近なところから探し始めます。王子様はどこにいるかわかりませんからね。
とりあえず学校に行ったのでしょうか、クラスメイト、先輩、先生、まさか直接聞いていくわけにもいかず、全然手掛かりは得られません。普通の女の子であるところの当人は『渾身のキス待ち顔』で、王子様に見つけてもらうための準備だけは、ばっちりのつもりです。
『見つけて!/早く 私を/白馬の王子様/じゃなきゃ/世界が終わるの/恋する前に』とあるように、この「私」はどうやら、世界が終わるよりも王子様に出会えないことの方が問題のようです。
第二章:どこですか? 私の王子様!
「この広い空の下のどこですか?」から「ピンチ!」まで。
青い空に真っ白な雲のシーン。魔法使いさんの助言をうけて、どこにいるかわからない王子様を探しに、女の子は冒険の旅に出かけました。
運命の王子様を見つけ出すためなら「炎の山」も「氷の谷」も越えようという姿は、日菜子本人にも通じています。
第三章:全部叶えて王子様
「紅 染まる 夕暮れ」から「それでも走って、走って、走り続けた。」まで。
夕暮れのシーン。運命の王子様に対する「私」の要求がワガママでかわいいですね。
優しさだけでなく刺激やヤケドしちゃいそうな恋にも夢みるのは、直近の日菜子を思い返します。
第四章:助けてくれたのは王子様じゃなく
「けれど、煙の檻に囚われてしまった私の意識は」から「えへへ……♪」まで。
熱い古戦場跡から、月がきらめく夜のシーン。
いつもの日菜子の妄想なら助けてくれるのは王子様ですが、今回は魔法使いさんでした。
第五章:王子様を見つけることはできなかったのです
「そうこうしているうちに」から「私は、あることを決意した——」まで。
月の光も失われたシーン。長い旅路の果てに、運命の王子様はついに見つからないまま、運命の日が訪れます。
魔女の役さえ日菜子のセリフとして表現される点は、メモリアルコミュ2のやり取りを思い返します。
第六章:私が決めたんだからあなたこそ運命
「『運命の王子様』はどこにもいなかった。」から「私の王子様 魔法をかけて」まで。
私の王子様は魔法使いさんあなたですとまで言い切っておいて、「私の王子様/魔法をかけて」と最後の踏み込みを委ねているあたり、この子はやっぱり王子様を待っているのだと言えましょう。魔法って何なんでしょうね。*3
エピローグ:いつか未来に、王子様とのハッピーエンドを
「目を開けると、」から終わりまで。
いつもとかわらない朝のシーン。「見慣れた天井、大好きな色のカーテン。」というフレーズには、「私」の日常が幸せに満ちていることを察します。
夢だったのか現実だったのか曖昧な気持ちになるほど、「私」にとっても真に迫るものだったのでしょうか。日菜子の日常であれば、妄想の振り返りをするようなタイミングですね*4。
いつもと変わらない朝。けれど「私」の足取りは、きっといつもより軽いに違いありません。
考察、あるいは妄想を伴う解釈
「私」の夢
日菜子が運命の王子様に憧れている点は確認しましたが、「私」自身も運命の王子様に憧れている節は、第一章の恋する前に世界が終わってしまうくだりをはじめ、各章に散りばめられています。
「私」も日菜子と同様に、白馬に乗った王子様が迎えに来てくれること、運命の王子様と出会うことが憧れであったと言えましょう。*5
「悪い魔女」がもたらす終末
いつか白馬に乗った王子様が迎えに来てくれる、という甘い夢からは、本当に王子様が迎えに来ない限り、いつかは醒めることになります。端的に言えばその夢を手放さざるを得ない何かであったり、諦めてしまったり、可能性を託す未来がなくなるようなシチュエーションです。
「悪い魔女」がもたらす終末は、「私」にいずれ訪れるであろう、「運命の王子様がいつか見つけてくれる」という夢の世界の終わり、夢を見続けられなくなる瞬間を表しています。世界の滅亡というのは、可能性を託す未来がなくなることの最たるものと言えましょう*6。
日菜子にとってみても、プロデューサーと出会ってアイドルになり、備えて待つだけの妄想が、叶えられる・叶えたい夢に変わった今でもなお、そのタイムリミットは刻一刻と迫っています。
「良い魔法使い」が示した選択肢
プロローグで確認したように、理不尽にも告げられる夢の世界が終わる未来に対して、ドロンと登場した魔法使いが提示するのは、「運命の王子様と出会い、愛のキスをすること」。ここから「私」は「運命の王子様を探し出す、見つけてもらいに行く」ことを決意します。
「私」と「良い魔法使い」がたどりつく結末
白馬の王子様が迎えに来てくれるという夢が破綻する条件は、もうひとつあります。
それは、世界のどこにも王子様がいないと確認してしまうことです。
魔法使いさんの提示した選択肢と「私」の熱い想いによって、この世界は端から探しつくされてしまいました。王子様がどこにも待っていないことを、その身で証明してしまったのです。どうしましょう?
「私」の決意
第六章、タイムリミットが迫るなか、求め続けた運命の人はどこにもいませんでした。
でもここまでずっと一緒にいてくれて、見守ってくれて助けてくれて、長く一緒に歩んできてくれたひとが、ここにひとりいます。これまでに見てきた人たちは王子様ではなくて、世界の命運を握っているのは私と魔法使いさん、とうとう世界にふたりきり。
これは『究極の妄想』です。世界に私と魔法使いさんのふたりしかいないなら、王子様は魔法使いさんで、迷う余地はないのです。
『私が決めたんだから あなたこそ運命』
もしこれで本当は違っていたとしても、運命の王子様など本当にいなかったとしても。何も選ばなければ恋する前に世界は滅びます。
魔法使いさんを選んで仮に世界が滅んだとしても、一緒に歩んできたこの魔法使いさんとならそれでも構わないと、「私」には思えたのです。*7
「私」の運命、日菜子の運命
日菜子が辿り着くひとつの可能性
アイドルとして活躍することで王子様に見つけてもらうことを目指している日菜子ですが、そんな日菜子が全世界の人間に知られるような存在になったら、それでも王子様が見つからなかったら。「私」と「良い魔法使い」が辿り着いてしまった結果に、日菜子とプロデューサーも辿り着くことになります。
もしそんな未来が来て、ずっとプロデューサーが支えていてくれたなら、そのときは日菜子も、「私」と同じ選択をするかもしれません。『世界滅亡 or KISS』が提示する、ひとつの可能性と言えましょう。
見果てぬ日菜子の王子様
表現を変えて繰り返しますが、「私」が夢の中で魔法使いさんこそが私の王子様だと決めても、日菜子が王子様はプロデューサーだと決めたわけではありません。*8
そうだと日菜子が決めたとしても、プロデューサーがどのような態度を見せるかは、依然プロデューサー自身の手に委ねられています。
[トゥルー・ドリーム]の問いとプロデューサーの答えがあの鐘の音の向こうに封じられているように、日菜子の出す答えもまた、夢と妄想と未来の中に託されているのです。
あとがき
『世界滅亡 or KISS』は、喜多日菜子が辿り着きうるひとつの未来を描いた、ファンタジックプリンセスストーリーでした。
あなたは日菜子にどんな未来が訪れることを願いますか?
プロデューサーであるあなたと日菜子は、どんな関係でありたいですか?
曲自体や話の流れの都合で書かなかったこともありますが、長くなりすぎても大変ですし、これはあくまでファーストインプレッションということにして、今後の読み解きの発展に託します。もしかしたらまた、とんでもないことを日菜子が言い出すかもしれませんし。
日菜子がこれからも夢を見続けられますように。
そしていつか未来に、日菜子にハッピーエンドを。
日菜子の妄想に、日菜子が歩む物語に、終わりはありません。
関連リンク
- アイドルマスター|THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS LITTLE STARS EXTRA! Sing the Prologue♪
- 世界滅亡 or KISS | THE IDOLM@STER STARLIGHT STAGE -MUSIC INFORMATION SITE- | 日本コロムビア
曲調が様々変化することから、オーディオ界隈でも話題になっているようです。
seesaawiki.jp dic.nicovideo.jp dic.pixiv.net
*1:トゥルー・ドリームの特訓コミュの締めはだいたいこの趣旨と言えましょう。冷静に考えてPのことめちゃくちゃ好きじゃねーかとは思うけど、恋心は王子様にしか向いていないのでPラブではない(断言)。
*2:6章構成や曲としての流れを考慮しており、あまり極端な反発は想像しない。一部にマジカルエクストラタイム等の言及とのズレは認められるが、そこまでこだわりをもって反映することはこの読み取りの内容に影響しない
*3:𝓚𝓘𝓢𝓢に決まってんだろ!!!!
*4:この言葉を現実に持ち帰った日菜子に、掴めぬ未来などないでしょう
*5:こんな確認するまでもなく「私」=日菜子やろがいとは思いつつ、念のため示しておくのは大事
*6:当人の死などではなく世界の滅亡に行くあたり、セカイ系的な読みはできそうです
*7:あの「えへへ……♪」を聞いてそう思えないとは言わせません。
*8:「私」と日菜子を分けたり意図的に分けなかったりして書いていますが、実際のところはほぼ同一視していますし、どちらでもこの読み取りに影響はないはずです。モチーフはどうあれ妄想の中の登場人物なので。
萩原雪歩と喜多日菜子を並べてみよう
この記事は喜多日菜子アドベントカレンダーの24日目だ。
まえがき
筆者は今イベント「ギュっとMilky Way」を走っている。念願の日菜子の新曲であり、念願の日菜子のユニット展開であり、そのユニットがドリームアウェイであったことは、日菜子にとっても良い経験になると信じている。
さて、予告では「日菜子P、雪歩P多い説」という題だったが、上述のイベント開催に伴ってあまり調査や思索の時間を取れそうにない状況となってしまった。このような仮説を立てるほどには、目に留まる日菜子Pの765ASでの担当が萩原雪歩であることが多い印象があることは、ここで強調しておく。
本題に入る前に筆者の現在のスタンスを説明しておくと、喜多日菜子Pであり、高山紗代子Pであり、元・萩原雪歩Pという自己認識をしている。プラチナスターズ・ステラステージの雪歩についてはまだ知識を持たない*1。
ところでミリシタの限定雪歩は無事に引けている。
最初期のPaPと喜多日菜子の関係
アイマス2やアニマスを経験した雪歩Pであって、モバマスを早い時期からプレイしている場合、雪歩がいるPa属性のアカウントを運用するのはもっともらしい流れと言って過言でないだろう。
Pa属性における最初期の重要カードといえば、[妄想お姫様]喜多日菜子だ。いわゆる完走枠でありながら単色攻片面特大という当時では破格の性能を誇り、微課金程度でも十分フロントに入ったという記述が見つかる。
33 ななしのよっしん 2012/07/02(月) 04:09:18 ID: OR57pxCAHI
>>31
上位報酬抜きでパッションのベストメンバー(数値だけじゃなくて特技込み)を組むと課金組でも日菜子が入ることになる
リーダー:コンプ美希
その他:SR伊織、SR真美、SR日菜子、姉御肌拓海or浴衣浜川
この辺が現実的なメンバー
当然、美希、伊織、真美はある程度課金しているかトレードを駆使していないと手に入らないので無課金どころか微課金組でも日菜子が余裕でリーダーを張ってる人が多い
ニコニコ大百科: 「喜多日菜子」について語るスレ レス番33
こうした巡りあわせから、雪歩Pが日菜子のお世話になるという流れは、そこまで珍しいものではなかったと考えられる。
類似するところ
容姿
髪色と髪の長さは多少話題にのぼるところだが、そうした外観よりも手の仕草に注目してほしい。ふたりともそれぞれに特徴のある仕草を持つが、手を顔の近くに置いていることが多い点は共通項として挙げておこう。
語尾
「〜ですぅ」「〜ですよぉ」のように、テキスト表記した際、語尾に小文字の母音がつく傾向が共通している。普段は少し間延びした喋りをするが、集中していたり気合が入っているときははっきり喋るようなところも、似ていると言えよう。
想像力
妄想癖に関しては日菜子は言うまでもないが、雪歩もその面は十分に持っている。顕著な部分はこのあたりだろう:
- 真を様々なシチュエーションにあわせて着せ替える(アニマス)
- 貴音に対して変な方向に想像が飛ぶ(MASTER SPECIAL 04)*2
765プロにおける妄想といえば音無小鳥という印象もあるかもしれないが、その音無小鳥が素質を感じて引きずり込もうとしたのも萩原雪歩だったことは忘れてはいけない。
雪歩が趣味とするポエム・詩もこの項目に挙がるだろう。雪歩のポエムは作品によってクオリティや傾向にばらつきがあり一概に説明はできないが、雪歩の観察力や想像力に特徴があることには間違いない。
日菜子も日々の妄想を妄想日記という形にまとめている。歌を歌えば3番までの曲の4番を熱唱したり歌詞を100番まで増やしてしまったりと、その想像力……妄想力はただならぬ瞬発力を備えている。
それぞれのありかた
雪歩
雪歩は内気で悲観的で心配性なところがある。そんな雪歩がアイドルになったのは、友達に勝手に履歴書を出された結果だ。アイドルとしての活動を通じて、そんな臆病な自分を変えたいと思っている。
基本的には考えすぎるタイプであり、その方向がネガティブに偏っているので前述のようになる。ポジティブな方向に誘導されると、情熱的なまでの姿勢で物事に向き合うことができる*3。実は「気合」のような言葉を好んで使うことからも、秘めた熱さを持っていることがうかがえる。
ミリシタでは加えて、これまでの経験が雪歩を支えているように描かれる。未だに雪歩自身にも不安は湧き起こってくるものの、かつての自分が抱えた不安をきっと新人たちも抱えるだろうという想像から、それに寄り添い助けようと自らを鼓舞する様子が描かれている。
弱気にならない自分に変わりたいと思っている雪歩だが、シナリオ上のオチの付け方としてはそうならない。雪歩がこれまでに歩んできた一歩一歩が少しだけ雪歩の自信や力になっていて、多少弱気になることもあるけど、持ち前の想像力と優しさ、熱さに由来する「私はこうしたい」を貫けるアイドルになっている。そして雪歩の周りには、そうして一歩ずつ歩んできた雪歩と一緒にステージを作る仲間がいる……というまとめ方をされる。
日菜子
雪歩の後に並べると、日菜子はかなり楽観的かつ前向きだ。夢は信じ続ければ叶うと信じている。アイドルになった経緯も、王子様に迎えに来てもらえるお姫様になりたいという夢が叶えられると思ったから、スカウトに即答したという流れだ。
妄想のプロと称されるだけあって、その想像力と瞬発力には目を見張るものがある。日菜子にとっての妄想は素敵なことを考えて楽しむことという面があり、しばしば妄想に夢中になるあまり戻ってこられなくなる。デレステのメモリアルコミュでは、妄想のあまりアイドルとしての仕事に支障が出た経験から、妄想のコントロールを身につけようとする様子が描かれる。
日菜子がなりたいお姫様像は、王子様とみんなに愛されるお姫様だ。アイドルとしてステージに立てば、どこかにいるかもしれない王子様はもちろん、すべての観客を夢見心地にさせる。他者にも自分が妄想で感じているようなむふふな気持ちになってもらいたいという観点で、「夢中になれなかったらそれは夢じゃないですよね」「真剣になれない妄想には意味がないですから」など、かなりストイックな面を見せる。
王子様といえば日菜子、妄想といえば日菜子という認識を他のアイドルからもうけており、ミッションを与えれば持ち前の妄想力と行動力で場をドライブするなど、着実に周囲からの信頼を積み重ねている。
おわりに
日菜子と雪歩の共通項をあえてひとつにしぼるなら、「突出した想像力(妄想力)」とまとめよう。当初は二人とも想像力の行き過ぎによって問題を起こす。雪歩は発想の転換や経験からくる視点の変化によって、日菜子は目標の確認と過去の経験を踏まえた視点の変化によって、その想像力は強い武器となる。
ふたりの比較をうけて新たに今後の日菜子に求めたいのは、ほかのアイドルとの関係が広がっていくことだ。雪歩は持ち前の優しさもあり、ミリシタの事情も手伝って、周囲に慕われ頼られるお姉さんとしての側面を得た。日菜子も比較的年下アイドル達との付き合いは多く、想像力豊かでたまに妙なことをするお姉さんというイメージは語られている。
年下だけでなく同世代や年上たちとの関わりについても少しずつ語られるようになり、タイミングのいいことにドリームアウェイとしての活動が描かれたのが直近の話題だ。詳細には触れないが、日菜子の持つ想像力と行動力、屈託のなさや時折見せる真剣さは、ほかのアイドルに強い影響を与え、日菜子もまた何かを受け取るだろう。雪歩にもそういう相手はいた。
さて今日は雪歩の誕生日だ。ミリシタの誕生日ページを訪れるのを忘れないように。
関連リンク
喜多日菜子アドベントカレンダー2019にはこれまでにも2件を投稿している。デレステ世界の喜多日菜子のあゆみと、直近の喜多日菜子の到達点を確認する記事のつもりなので、よければご覧いただきたい。
*1:この記事を書くにあたってステラステージをやるべきと買ってあるのだが、前述の理由でその余裕が吹き飛んでしまった
*2:参考: 【販促動画】MASTER SPECIAL 04 百合トーク(試聴版) - ニコニコ動画
*3:振り切ったときにはネガティブ方面にも勢いがあることは言わないでおこう