LTP08の話をすると見せかけた桃子の話
先日、LTPの個人曲について喋るニコ生をした。その時に私がした話をベースに書く。
ここに何が書いてあるか
LTP08のメンバーは充実した現実世界の生活をおくってきたけど、桃子は現実世界では友達もいなくて孤独に生きてきたから、LTP08のメンバーにならなかったのは残念ながら当然。これからがんばろう。
曲目の確認
- Tr.03 ホップ♪ステップ♪レインボウ♪ / 大神環 (稲川英里)
- Tr.05 グッデイ・サンシャイン! / 中谷育 (原嶋あかり)
- Tr.07 オリジナル声になって / 矢吹可奈 (木戸衣吹)
- Tr.09 ハートウォーミング / 高槻やよい (仁後真耶子)
- Tr.11 Good-Sleep, Baby / 高槻やよい (仁後真耶子), 大神環 (稲川英里), 中谷育 (原嶋あかり), 矢吹可奈 (木戸衣吹)
LTP08にて何が描かれたか
???「やよいは私の母になってくれるかもしれなかった女性だ!」
— ベルリシア💭 (@berlysia) 2014年5月4日
LTP08のメンバーは、最年少の中谷育(10)、下から3番目の大神環(12)、矢吹可奈(14)、高槻やよい(14)の4名からなる。メンバー発表当時よりロリ組と話題になっていたのが、もう大分前のことに思える。
「ホップ♪ステップ♪レインボウ♪」が描くのは友達関係に関することだ。ひとりよりふたり、ふたりよりたくさんの精神で、友達を最大の宝としている。Bメロの歌詞は1番と2番で対応しており、友達関係につきものである喧嘩と和解を歌っている。何よりみんなで遊ぶことが楽しい、みんな一緒に外に飛び出そう、という歌。
「グッデイ・サンシャイン!」は中谷育の性質をよく表している。この年齢にしては増せている方で、子供扱いすることを嫌がり、何か任せられることに大人っぽさを感じてウキウキする一方、その内情は年相応の女の子である。こちらは、みんなと過ごすいつもの時間を踏まえた上で、ひとりで何かをする、みんなとは違うことをすることに、まわりのみんなに対する優越感を感じている。
「オリジナル声になって」は自分自身と向き合う。矢吹可奈の明るく前向きで努力家な一面をおさえながら、自身は何であるのか、何が自分自身であるのかを探し求める、青年期の課題に頭から突っ込んでいく歌になっている。*1
「ハートウォーミング」は家族の中の自分の存在を描く。高槻やよいの背景によく対応した歌詞になっているが、ここに歌われるのはまさしく、家族の中で母親にも似た頼られる位置にあって、その役目を全うする、年齢からは想像もつかないほどの強い母性の姿である。
「Good-Sleep, Baby」では、環の歌うすれ違いや可奈の歌う努力についてこれらを受容し、眠る間は大変なことは忘れて、ゆっくりおやすみなさい、とドラマパートでテーマになっていた「癒し」をイメージさせる。
現実世界の住人たち
4名とも、歌の内容は現実世界の人との関わりについて言及している。面々はみな現実世界に居場所を持ち、その中で生活を送ってきた。それぞれの曲に注目すれば、大事にしたいみんなという集団を認識し、その中でどう自分を認められたいか、そもそも自分とは何であるかを考え、自分が集団の中でどのような存在として振る舞うか、と段階を踏んで成長する子供の精神が浮かび上がってくる。
「Good-Sleep, Baby」は日中の現実世界での営みを踏まえた、夢の中での「癒し」を歌っており、あくまでメインステージは起きている間、現実の世界であることを印象づける。
やっと本題。
桃子はLTP08のメンバーにはなりえなかった
桃子がこのLTP08のメンバーと決定的に異なる点が、彼女は友人関係が壊滅的な状態にあり、更に両親との関係も良好とはいえない*2、というところである。LTP08の曲に見出した精神の発達を、桃子はどれもまともに経験できていないか、一般とはかけ離れた形で経験してしまっている。彼女には現実世界に居場所がなかったのだ。
桃子には、夢の中でまた会うような友達はいないのだ。現実にもいないのだから当たり前のことだ。だが彼女にとっても、夢の世界は強く意味のあるものである。
「デコレーション・ドリ〜ミンッ♪」に描かれる桃子の夢の世界
桃子は11歳、中谷育と大神環の間で、ミリオンスターズの中で2番目に若い。それでいてかつて人気子役であった経歴を持つ。アイドル以前から彼女は、演技の世界の人間であった。
夢の世界、つまり現実でない世界は、そもそもが桃子のメインステージなのだ。演技の世界ではどのような自分にもなることができる。それこそお姫さまだろうと構わない。おとぎ話でさえ叶えることができるのだ。実際は、それまでの現実の世界には「一緒に踊って」くれる人はいなかったのだが。
歌の中にも、夢の世界以外の話題は出てこない。仕事の場も遊びの場も夢の世界だった桃子は、現実世界に生きてきたLTP08のメンバーと一緒にはいられないのだ。
桃子を救済するLTP12、「ココロがかえる場所」
ではLTP12に入って桃子はどうなったのかというと、孤独だった桃子自身が既にかけがえのない現実の存在で、そのときがあったからこそ、踏み出した今を強く歩けるんだよ! と過去の自分に対する追認という形式で、問題をあるがままに自分に組み込んでしまう。今のアイドルとしての生活を現実世界における桃子自身の居場所とし、夢ではなく現実として、目の前のステージを楽しむことを欲するようになる。
これはある程度年齢を重ねた者からしか出てこない機転であって、LTP08にいるような子供たちからはなかなか得られないものだ。*3桃子自身、年齢にふさわしくない形で大人の世界に順応してしまっていて、桃子が何かしらの形で認めた大人の姿しか、彼女の心を打つことができなかったのだと思う。
LTP12のメンバーは何かしらの課題を乗り越えてきた、あるいは乗り越えようとする面々が並ぶ*4が、その人選は桃子の救済がひとつの大きな目的であったものと思う。
LTP12の話は、また改めてまとめる。